アスミライ通信Vol11

2025年度4回目となる定例ミーティングを1月28日に開催!
元力士でCDP事務局メンバーでもある三好正人様にご講演をいただき、また賛同受入企業のSports entertainment(株)富永様による自社PRを行って頂きました。

定例ミーティング会場の様子

Opening

マグチグループ株式会社 執行役員 COO室室長 角谷 高士 様

角谷高士様(マグチグループ株式会社)の挨拶

みなさん、こんにちは。ご紹介いただきましたマグチグループ株式会社の角谷です。本日もお忙しい中、アドバイザーの皆様をはじめ、リアルとウェブでご参加いただいております賛同受入企業の皆様、本当にありがとうございます。

本日の定例ミーティングは、今年度最後の開催ということで、少しお時間をいただきながら、この一年の定例会を振り返ってみたいと思います。今年度も多くの方にご参加いただいて、貴重な発信をたくさんしていただきましたので、改めて感謝申し上げます。

まず5月の定例会ですが、アドバイザーの木村様にご登壇いただきました。甲子園、社会人野球、プロ野球と、ご自身の経験を生かしながら、現在は子どもたちの野球指導とともに「絆育成プロジェクト」を継続されているというお話でした。子どもたちの成長を第一に考えて、挑戦の場を与え続けてこられた姿勢が伝わってきて、改めて「挑戦することの大切さ」を感じさせていただいた回だったと思います。

続いてエコリングの高木様からは、女子サッカー選手として日本と海外で経験されたことを中心にお話をいただきました。日本では仕事と競技の両立に苦労されて、一度は競技に専念したいという思いから海外挑戦を決断され、そして自ら作成した動画を通じてプロ契約を勝ち取って、経験を積まれてきたというお話でした。現在は競技に一区切りをつけて、セカンドキャリアとして社会人の道を選択されておりますが、葛藤しながらも自分の意思で挑戦を選び、結果を出してきた主体性と行動力が伝わる、本当にいいお話だったと思います。

次にABUの中田様からは、ご自身の野球経験とビジネス経験を背景に、「セカンドキャリア」という言葉にとらわれすぎず、スポーツを通じて培った思考力やマインドを、社会で生かすための教育が必要だというお話がありました。アスリートと企業の双方にとって実践的で現実的な支援体制が構築されていて、ミスマッチを防ぐ仕組みが機能している。今後さらに社会的意義の高い取り組みとして広がっていくことが期待されますし、私たちとしても参考にできる貴重なお話だったと思います。

第2回目の8月の定例会では、アドバイザーの石塚様にご登壇いただきました。剣道人口が減少する中で、剣道共通のキーワードを軸に、企業や学生、出版社などが連携する新しい形の大会イベントを企画されているというお話でした。剣道という伝統競技を軸にしながら、世代や分野を超えて人や組織を巻き込んでいく、その点が非常に斬新で意義深い取り組みだと感じました。

続いて、賛同受入企業の株式会社アングルの岡本様から企業紹介をいただきました。アングル様は医療機器の製造販売をされていて、血流改善やコリを緩和する効果がある磁気ネックレスを主力商品として展開されています。当プロジェクトに参加された経緯として、就職支援サービス業界のあり方に対する問題意識から、アスリートのセカンドキャリアを支援することに共感いただいたというお話でした。特にアスリートの実体験や共感を生かしたブランディングは、商品力と理念の両立が実現できる可能性を感じさせる内容で、印象深いお話だったと思います。

そして尾崎スイミングスクール所属の上原様には、現役アスリートとしてご登壇いただきました。中高ではクロールと背泳ぎの専門だったところから、高校3年の秋にバタフライへ転向し、ジュニアオリンピックの全国大会を突破。その後バタフライを専門として大学へ進学し、日本選手権やジャパンオープンに出場して記録を伸ばしてこられました。卒業後はコーチ業と競技を両立しながら、2028年のロスオリンピック出場を目標に選手活動を続けておられます。競技人生の中で試行錯誤や環境の変化を乗り越え、自分に合った種目や働き方を見つけて成長してきた過程が印象的で、専門的な分析と明確な目標設定も含めて、今後の挑戦を応援したいと感じる内容でした。

第3回、前回11月の定例会では、元プロサッカー選手の夛田様にご登壇いただきました。13年間プロとして活動した経験から、アスリートの本当の価値が社会に十分伝わっていないという問題提起がありました。アスリートにとって当たり前の責任感、自己管理、結果から逆算して考える思考は、ビジネスでも大きな価値があることに気づいたというお話でした。一方で、セカンドキャリアの準備を避けがちな選手が多く、引退後に苦労する現実もある。だからこそ現役時代から社会との関わりを持ち、自身の価値を言語化して発信する重要性を訴えられていました。根性論ではなく、思考力とセルフマネジメントのプロとしての価値を社会に還元していく存在である、という言葉も含めて、とても説得力のある内容だったと思います。特に、当たり前すぎて自分では価値に気づいていない能力を言語化していくという点は、アスリート本人だけでなく企業側、支援する側にとっても気づきが多かったのではないかと思います。

続いて日本生命保険の福岡様からは、少年時代から高校まで野球チームの中心選手として活躍し、スポーツ推薦で大学に進学したものの、強豪野球部ではほぼ裏方として過ごしたというお話でした。しかしその経験を通じて、主役ではなく組織を支える立場の大切さを学び、将来を見据えて就職を選択。現在は営業部長として部下のメンタルケアや環境づくりにも取り組まれています。我慢強さと組織を支える経験が今の仕事に生かされており、挫折やスランプに苦しむアスリートに対しても、競技以外で得られる価値の重要性を語られた点が印象的でした。華やかな成功だけではなく、裏方として積み重ねた時間を強みに変えている姿勢には説得力があり、現役選手や競技に悩むアスリートにとっても励みになる内容だったと感じました。

最後に、賛同受入企業のメモリーズ横尾様より企業紹介をいただきました。メモリーズ様は遺品整理を専門とされていますが、単なる片付けにとどまらず、遺族の感情に寄り添うことを非常に重視されており、超高齢化社会の中で孤独死や地域コミュニティの崩壊といった社会問題に向き合っておられます。現代では高いモラルと誠実さが求められると同時に、チームワークやホスピタリティも重要であり、アスリートが培ってきた力が現場で大きな価値を発揮している、というお話でした。社会問題を真正面から捉えながら事業として成立させつつ、人の尊厳や感情に深く配慮している点が強く印象に残りました。

このように今年度も、CDP定例ミーティングの場でさまざまなメッセージを発信していただきました。ご登壇いただきました皆様に改めて感謝申し上げまして、冒頭の挨拶とさせていただきます。本日もよろしくお願いいたします。

Special lecture

株式会社間口 シェアードカンパニー 三好 正人 様

三好正人様(株式会社間口)の講演

皆さん、こんにちは。株式会社間口人事部人事課の三好正人と申します。本日はアスリートのセカンドキャリアを支援するCDPの事務局としてもこの場に立たさせていただいております。どうぞよろしくお願い致します。

これまでの講演では素晴らしいご経歴をお持ちの方々が続いておられましたが、本日は少し趣向を変えまして、元力士が登場いたします。どうか温かい目でお聞きいただけたら幸いです。そんな私でございますが、今から20年以上前、私は全く別の名前で呼ばれていました。

朝陽丸勝人です。これは元力士の時の四股名です。今日お話しするのは、私が力士朝陽丸のすべてを失い、絶望の淵からいかにして会社員三好正人として新しい土俵を見つけたかという物語です。なぜ元力士の私が今、この仕事をしているのか。その答えが私の歩んできた道の中にあります。

私は大阪府枚方市で生まれ、少し体の大きなやんちゃな少年でした。小学校三年生で相撲と出会い、私の人生は一変します。小学校の全国大会で優勝、わんぱく横綱になり、枚方市では市長に表敬するほどの少年ヒーローでした。

小さな土俵は私にとって世界の全てでした。勝てばヒーロー、負ければただの人。幸いにも体格に恵まれ私は勝ち続けました。勝ち続けるにつれて、周囲には負けを知らない少年と騒がれていました。わんぱく相撲全国大会では4年生~6年生まで三年連続で日本一に輝きました。

その後は中学横綱、高校横綱を取って、インターハイチャンピオンも取りまして、大阪で開催されましたなみはや国体では、個人優勝して順調にタイトルを手にしていきます。そしてその後は、名門近畿大学相撲部に入部いたしました。入部しても幸運は続きます。大学1回生からレギュラーになり、4回生では主将を務め、大学相撲では九つのタイトルを手にしました。

アマチュア界最高峰の大会、全日本相撲選手権大会でも優勝。アマチュア横綱に輝き、現在の横綱大の里と同じ称号を手に入れました。誰もが認める天才エリートとして私の未来は光り輝く道だと信じて疑いませんでした。人生で最高の瞬間だったんです。

その後ですね。私は天狗になりました。2002年、私は大きな期待を背負い、名門高砂部屋の門を叩きました。当時の師匠は元大関朝潮の愛称は大ちゃんなんですが、近畿大学相撲部の先輩でもある偉大な師匠のもと、アマチュア横綱の実績を引っ提げ、幕下十五枚目という破格の待遇でのスタートでした。入門した当初は、スポーツ新聞に「朝潮二世」と書かれたこともあります。

しかし、プロの世界の光は濃い影を伴っていました。大学では主将を務め、チャンピオンとして君臨した私が、ここでは一番の下っ端、鉄の掟のような上下関係に飛び交う怒号。それを「指導」という言葉では到底説明できませんでした。アマチュア横綱という看板は全く通用せず、むしろその看板が無言のプレッシャーとなり、私の肩に重くのしかかりました。それでも私は「絶対に逃げない」と、ただ歯を食いしばる毎日でした。それから厳しいプロの世界に揉まれながら、必死に番付を駆け上がりました。

しかし、運命の日は突然訪れます。関取昇進を目の前にした幕下上位の一番。スローモーションのように相手が迫り、踏み込んだ左足がありえない方向に曲がり、時間が止まったような静寂の中で自分の膝がきしみ、「ボリボリ」っていう音がしました。診断は膝の靭帯三本断裂。力士にとって足は命です。その命綱が無残にも断ち切られました。五場所に及ぶ長期休場。当たり前にできていた四股やそんきょなどの基本動作が何もできませんでした。入門当初、群がっていた記者の方々などいろんな方が離れていき、「人は冷たいな」という感じました。

そして新たな恐怖が追い討ちをかけて、異変は思わぬ場所に現れます。稽古後、ふと鏡を見ると、左目の視界がぼやけている。数日後、視界がゆっくり暗くなっていきました。診断を聞くと網膜剥離ですと言われまして、このまま相撲を続ければ失明する可能性があると言われました。光を失うということがどういうことか。それは私の人生そのものである相撲を奪われるということです。私にとって、ぶちかまし相撲は魂そのもの。頭から相手にぶつかることができなくなれば、私の相撲は生かされません。

しかし、それを続ければ光を失う。私の最大の武器である戦う魂が、私自身を破滅させる凶器に変わってしまった瞬間でした。それでも私は土俵にしがみつきました。まだ片目があるんじゃないかと自分に言い聞かせ、三度の手術を受けました。しかし、無情にも病はもう片方の目にも襲いかかります。朝、目が覚めると右目も同じ症状に。

医師の診断は網膜剥離。病院の手術室の白い天井を見上げながら、私は静かに悟りました。「もう土俵の神様は私に微笑んでくれないのだ」と。戦うべき相手はもう目の前の力士ではない、これからの人生なのだと。そして高砂親方に「引退します」と伝えました。

その言葉を口にしたとき、自分という存在がこの世から消えてなくなるような底知れぬ喪失感に襲われました。そして私には史上初の「アマチュア横綱出身でありながら、関取になれずに引退した力士」という、あまりにも残酷な史上初の称号だけが残され、新聞の紙面を飾りました。

ここからが引退してからの話になります。28歳で引退しましたが、引退後の私には何一つありませんでした。相撲以外の社会を知らず、履歴書に書けることなど何もありません。引退したアスリートが直面する絶望的な現実で、底知れぬ喪失感に襲われたのを覚えています。小学生から勉強もしなくて、全く世の中のことなど何も分かっていませんでした。そんな私に手を差しのべてくれたのが、今の会社であるマグチグループでした。

マグチグループ合同入社式の様子

電話の取り方一つ、名刺の渡し方一つとっても、すべてが未知との遭遇でした。28年間積み上げてきた朝陽丸という看板やアマチュア横綱は、ここでは何の役にも立たない。私は大きな体を持て余した、ただの新人のデブでした。

そんな私を支えてくれたのは、周りの人たちの温かさでした。ある日コピー機の使い方を10回以上聞きに行った私に、60歳近い先輩は嫌な顔ひとつせず、こう言ってくれました。「三好君、このボタンな。俺も最初わからんかったわ。」その一言がどれほど心を軽くしてくれたか、言葉にできません。

この瞬間、私は大きな発見をしました。相撲界は絶対的な縦社会、番付が全てです。孤独な個人戦の世界でした。しかし、会社は違いました。役職はあっても、それぞれの持ち場でプロフェッショナルとして尊重し合い、チームで目標に向かう。それは孤独な個人戦から、支え合う団体戦の転換でした。私が戦う土俵が変わった瞬間であり、相手を打ち負かすこと以外の勝ちの形を初めて知った瞬間でした。

そして、私が企業で働くようになって初めて気づいたことがあります。それは、アスリートを雇用することは、企業にとって大きな価値があるということです。私は28歳の新人としてコピー機一つ満足に使えず、社会の右も左もわかりませんでした。しかし、そんな状態からここまで評価していただけたのは、私自身が気づいていなかった、アスリートとして養ってきた力があったからです。

企業がアスリートを採用するメリットは、決して体が大きいからではありません。アスリートが持つ本能的な力が職場で必ず生きるからです。例えば、目標に向かって努力し続ける力。どれだけ負けても何度でも立ち上がる。この粘りは企業が最も求める才能です。自己管理能力、挑戦、習慣、体調管理、メンタル管理。当たり前のようにできている人は少ないです。これは武器になります。私はこれを最近ようやくできるようになってきました。

チームで戦う力、役割を理解する力。何をすべきか、瞬時に理解する力。これは企業にとって大事なのではないかと思います。プレッシャーの中でのパフォーマンス。数千人の観客の前に立つ経験は、普通の社会人にはありません。本番に強いというだけで企業は安心します。これは昔から得意でしたが、今日は緊張でかみかみです。申し訳ございません。

アスリートの方は最終折れない心があると私は思っていて、それが会社にとって一番の力になり、むしろその準備さえすれば、戦える力を十分に持っていると確信しています。

当社マグチグループの尾形代表が入社式で、新入社員に必ず伝える言葉があります。「雨垂れ石を穿つ」。小さな努力の積み重ねが、大きな力を生む。継続すれば不可能に見えることも成し遂げられる。この言葉は、まさにアスリートが日々の練習で体現している姿そのものです。目に見える成果の裏には、誰にも見られない小さな努力が無数に積み重なっています。だからこそ、アスリートは本番の一瞬に力を発揮できるのです。

そして今、企業がアスリートを採用することは、CSRでもボランティアでもありません。企業にとって投資であり、確かな価値を生む採用じゃないかと思っております。

先ほどの私の話の続きとなりますが、私は日々の業務を少しずつですが評価していただき、正社員として登用されました。今は人事部に配属させていただき、入社対応や研修などさまざまな業務に携わらせていただいております。そして、CDPというアスリートのセカンドキャリアを支援する活動にも携わっています。

引退したアスリートが直面する「自分には何もない」という恐怖。社会との断絶感、その痛みを私はある程度分かってあげられると思っています。彼らが次の土俵を見つけるための一歩を後押ししたい。それは私にとって過去の自分自身を救い出すような作業でもあるのではないかと思っております。

私の力士人生は、結果だけ見れば、敗北だったのかもしれません。史上初の不名誉な記録も作りました。しかしあの絶望があったからこそ、今の私があり、今のご縁があります。アスリートたちが直面する壁を壊し、彼らの経験や才能、社会で生かすために土俵を作って、これが神様が私に与えた新しい役割なのだと信じています。かつて自分の勝利だけを追い求めた私が、今は誰かの勝利のために汗を流している。これこそが、私が敗北から得た最大の価値なのだと思います。

人生にはいくつもの土俵があり、そしてそれぞれの土俵で求められる価値の形は違います。相手を投げ飛ばす勝負から、自分自身の弱さと向き合う勝負。もし現役のアスリートの方が今、人生の土俵際だと感じているのならば、どうか思い出してください。

「土俵は一つじゃない。土俵を下りることは負けじゃない。新しい勝負の始まりである」と。

私も、今もなお大きな壁の前に立ち続けています。ふとした夜に本当にこのままでいいのかと不安に襲われます。過去の栄光と今の自分を比べては落ち込む日もあります。この告白は私の弱さを示すためではありません。これが現実だからです。中には、それをすぐに乗り越えられる元アスリートの方もいます。ただ、私は相当時間がかかります。だからこそ、同じように迷い、悩みながらも立ち上がろうとするみなさんに心から伝えたいのです。立ち上がる場所は自分で選んでいい。自分で決めて、人生は何度だってやり直せると。

そして最後に、本当に私は上司に恵まれました。私をどん底からここまで育て上げていただいたマグチグループの方や上司の方には感謝しかございません。まだまだ期待には応えられていませんが、いつか定年までには必ず恩返ししたいと思っております。最後に私はマグチグループに入社して感じたことは「人情」です。この「人情」と「縁」を忘れず、人の和を大事に前進してまいります。相撲界のウサギからサラリーマンの亀になりましたが、最後はサラリーマンのウサギに追いつきたいと思っております。

Supporting company

SportsEntertainment株式会社 スポーツビジネス支援事業部 富永 健作 様

富永健作様(SportsEntertainment株式会社)の講演

Sports Entertainment株式会社の富永と申します。本日はこのような機会をいただき、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

弊社は、現役アスリートを実際に雇用しております。今日はその話を中心に、「セカンドキャリア」「ネクストキャリア」という文脈の中でも、いわゆる“引退後”だけではなくて、現役中から仕事と競技を両立していく「デュアルキャリア」という考え方でお話を進めていきたいと思います。

まずその前に、弊社がどういう事業をやっている会社なのか、簡単にご紹介させてください。私は沖縄出身で、今も沖縄在住です。プロバスケットボールの「琉球ゴールデンキングス」というチームがありまして、Bリーグに所属しているのでご存知の方も多いかもしれません。私は約20年前に、そのチームの立ち上げ、設立の創業メンバーとして、フロント業務を担当していました。スポンサー営業をしたり、広報をしたり、その他いろいろ、いわゆる“何でも屋”みたいな形で全般をやっていました。

その後、家業の関係で全然違う業界、建設資材の業界に移って、十何年ほどその業界にいました。そして、去年改めて自分の人生を考えたときに、「もう一度スポーツ業界、スポーツビジネスの世界に戻りたいな」という思いが強くなりまして、スポーツエンターテインメントにジョインした、という経緯になります。

では、弊社は何をしている会社なのか、というところです。企業理念としては、「チャレンジ・ザ・ワールド・オブ・スポーツ」、スポーツビジネスへの新たな挑戦、という言い方をしています。スポーツビジネスをブーストさせて、持続可能な社会を実現していく、というミッションのもとで活動しています。

拠点としては、本社が大阪市北区にありまして、兵庫支店、八戸支店も含めて、いま三つの拠点で事業を展開しています。事業領域は大きく二つありまして、一つはスポーツビジネス領域、もう一つはマーケティング領域です。

スポーツビジネス領域では、スポーツチームや競技団体、あるいはスポーツに関わる企業様に対して、スポンサー獲得支援、ブランディングやPR支援、それからアスリート個人の支援も行っています。もう一方のマーケティング領域では、テレマーケティング、ダイレクトマーケティング、ウェブマーケティングなど、いわゆるマーケティング施策の実務を事業として展開しています。

弊社の特徴としては、この「マーケティング」と「スポーツ」を掛け合わせて、両方の軸で企業様の課題を解決していこう、というところにあります。スポーツはスポーツ、マーケはマーケ、で終わるのではなくて、スポーツを使って企業の経営課題を解決する、あるいはマーケティングの成果をスポーツの現場につなげる、そういう“両軸”で事業を組み立てています。弊社は「スポエン」と略して呼んでいただくことが多いんですが、スポエンが中心になって、スポーツとマーケティングを掛け合わせた支援を展開しています。

スポーツとマーケティングを掛け合わせる事業モデル図

スポーツビジネス領域で、我々が目指しているのは「スポーツの現場から新しい価値の流れを作る」ということです。スポーツ企業、地域、そして企業側、それぞれを掛け合わせることで、スポーツを応援することが、企業の経営課題の解決につながる世界を作っていきたいと考えています。

そのときに、弊社の立ち位置をどう捉えているかというと、企業・スポーツチーム、競技団体・アスリート・地域行政、この四者の“ハブ”になりたいと思っています。スポーツの現場と企業の課題解決をつなぎ、さらに地域のコミュニティともつなげることで、社会に貢献していきたい、という思いです。

Sports Entertainmentの立ち位置(企業・スポーツチーム・競技団体・アスリート・地域行政のハブ)

では「スポーツを使った経営課題解決って、具体的に何なんですか?」という話になると思うんですが、スポーツスポンサー活動の構造は、いわゆる“タニマチ”的な構造がまだまだ散見されると感じています。つまり、応援はしているけれど、投資対効果が不透明になりやすい、という課題がある。ここが業界課題として大きいと思っています。

我々としては、企業が行っている事業や、企業全体として抱えている経営課題を、スポーツを通じてうまく解決していく、というところにコミットしたいと考えています。具体的には、マーケティングの強化、商品やサービスをスポーツという軸で展開していく支援、ブランディングや認知向上、採用や人材育成、地域との接点づくり、そして社内エンゲージメントの向上、こういったところにスポーツを使ってコミットしていく、ということです。

スポーツを使った「経営課題解決」の図

その中で、今日のテーマにもつながる「現役アスリート雇用」についてお話します。私たちが今、雇用しているのは、兵庫県を拠点に活動している「FCバサラ兵庫」というチームの選手たちです。弊社はテレマーケティング事業もやっていますので、彼ら選手は、練習をして、その後に出社して、テレマ業務に従事する、という一日を送っています。競技だけ、仕事だけ、ではなくて、両方を成立させていくモデルですね。

このFCバサラ兵庫は、元サッカー日本代表の岡崎慎司さんが設立・立ち上げたチームです。岡崎さん自身も今ドイツで、同じ「バサラ」というチーム名で活動されていて、ロゴもかなり同じような形で展開されています。なので、我々としても、日本とドイツをつなぐような事業も今後力を入れていきたいと考えています。

では選手を雇用することで、会社側にどういうメリットがあるのか。ここは誤解されがちなんですが、「体力がある」「根性がある」みたいな話だけではない、ということをお伝えしたいと思っています。

まず一つ目は、高い再現性を持つ“成果志向人材”だということです。アスリートは、目標に向かってどう練習を積み重ねるか、ということを日々やっていますよね。目標設定をして、行動して、検証して、改善する、いわゆるPDCAを回すことを、もう日常としてやっている人材だと思います。ただ、本人たちはそれを「PDCA」なんて言葉で意識しているわけではないのです。社会に適用するという意識も、実はあまり持っていないケースが多い。でも現実にはそれを体現している。ここは企業側がうまく翻訳してあげると、非常に強い力になると思っています。

二つ目は、組織カルチャーの強化です。目標達成に向けた努力の仕方、考え方、取り組み方が、組織に良い影響を与えます。また、スポーツには挫折がつきものです。うまくいかないときにどう立ち直るか、どう乗り越えるか。こういう“立ち直りのプロセス”を経験している人材は、組織の中で強い。個人競技もチーム競技もありますが、チームワークやチームビルディングという面でも、長けている方が多いと感じています。

三つ目は、ロイヤリティの高さ、離職率の低さです。短時間でも集中力を高く保てる、自己管理能力が高い、という特性もあります。先ほどの挫折の話とも重なりますが、アスリートは「やめちゃう」「諦める」ではなくて、「どうやったら乗り越えられるか」という思考を持っている場合が多い。ここも企業にとっては価値だと思います。

さらに、地域循環型の人材活用モデルという見方もあります。神戸を本拠地にしているチームの選手を雇用し、サポートすることで、地元との連携が生まれやすい。地域との接点が増えることで、企業としての存在感にもつながります。採用ブランディング効果、他社との差別化にもなり得ると考えています。

実際の取り組みとしては、例えば、チームが勝利すると福利厚生の一部として社内ドリンクを無料にする、といった施策をやっています。「今日は1日2本無料です」みたいな感じですね。そういう仕掛けを入れることで、社員が自然とチームを気にするようになります。また、社内モニターで選手たちの声を直接届けるために、動画を撮って編集して流す、ということもしています。選手が“会社の中にいる存在”になることで、距離が近くなるんですよね。

この雇用している選手の中には、仕事の中でもどんどん結果を出していった選手がいます。選手としても、去年一年間でリーグの最優秀新人賞を取るところまで力を発揮しました。仕事としても結果を出し、来季も続ける、という話になっています。競技と仕事が相互に良い影響を与える、デュアルキャリアの“相乗効果”が出ているケースだと思っています。

こういう選手が同じオフィス、同じ会社内にいると、いわゆる“推し活”のように、個人選手を応援する文化が根付いてきます。スポーツを応援するという文化が社内にできると、社内のエンゲージメントが高まる。実際に、バサラ兵庫がJFL昇格をかけたシーズン終盤の大事な試合が東北であったときに、社員が何人も自費で東北へ行って応援する、ということまで起きました。サッカーに興味がなかった女子社員が、ハマって毎試合応援に行く、ということもありました。

こういう“応援する文化”が社内にあることは、他社との差別化になります。採用の面でも、定着の面でも、離職防止の面でも効果があると感じています。スポーツに触れることで感情が動く。スポーツはやっぱり人の感情を動かす力がある。だからこそ、社員のモチベーションやエンゲージメントに対して強い効果をもたらす、と実感しています。

最後にまとめになりますが、我々としては「アスリート雇用」そのものを目的にしているというよりは、スポーツを使って企業の課題解決を、より直接的に支援していける仕組みの提供を今後さらに強くしていきたいと考えています。スポンサー獲得、ブランディング、採用、人材育成、地域との接点づくり、社内のエンゲージメント向上。こういった企業課題に対して、スポーツとマーケティングを掛け合わせて、実務として伴走していく。そういう会社として、これからも展開していきたいと思っています。本日はありがとうございました。

Closing

マグチグループ株式会社 代表取締役 VCOO 尾形 哲 様

尾形哲様(マグチグループ株式会社)の挨拶

皆様、改めましてこんにちは。年始のお忙しいところご参加いただき、ありがとうございます。鳥内監督も毎回ご参加いただき、ご指導ありがとうございます。

ご存知の通り、先週から寒波や雪の影響もありまして、本日ご参加予定だった方が数名、いろんな事情の中で欠席になりました。人数が減って寂しいのは寂しいんですけれども、「来たくても来られなかった」状況だと思いますので、ぜひ後日配信の動画で見ていただけたらと思います。

それと、本日予定していただいていたアスミビルダーズの前田監督も、急遽参加できなくなったと伺っています。事情もお聞きしているんですが、監督という立場で、選手に急な事情があって、監督自ら東北の方へ向かわれているとのことでした。もしその状況で、この場で普通に話されていたら、逆に「それは違うんじゃないかな」と思っていたと思います。自分のチームの選手に何かあったら、トップである監督自らが動く。自分の発表よりもそっちを優先する。これは本当に素晴らしいなと思います。もちろん「ここで喋って、ナンバー2に行ってこい」も考え方としてはあり得ると思うんですが、そうではなく自ら行かれた。その姿勢に、私は逆に感銘を受けました。ぜひ次回、また機会をいただいてお話しいただけたらと思います。

年が明けて今年はスポーツイベントも目白押しです。冬季オリンピックがもうすぐ始まりますし、WBC、それからサッカーのワールドカップと続いていきます。非常に楽しみな一年になると思います。皆さんも「忙しい中」、どうしても見たいという気持ちが勝つと思いますけれども、体に注意して楽しんでいただけたらと思います。

今「忙しい」という言葉を使ったんですが、年始になるといつも思い出す話があります。数年前、とある年始の会で、同じテーブルの方がものすごく遅れてきたことがありました。中盤に差しかかったところで慌てて入ってこられて、知り合いの方が「お前忙しいんか?何しとんねん!」と叱責したんです。すると遅れてきた人が「忙しいねん」と言うわけですね。そしたら「お前『忙しい』言うたよな?忙しいってどんな字書くか知っとんか」と。漢字で書くと「心を亡くす」と書く、心を亡くすのが忙しいやと。さらに「縦に書いてみぃ。『亡くした心』と書いて『忘れる』言うんや。忙しいことにかまかけて、心をなくして忘れてるだけやないかい。だから遅れてくるんやろう」と。目の前でそんな厳しいやりとりがあって、めちゃくちゃ勉強になったなと思いながら聞いていました。

その方は続けて、「嬉しくて喜んでやってたら忙しいって言えへんやろ」と言うんです。「違う漢字、思い浮かべてみと。当たり前に続けてやってることなら、りっしんべんに『貫く』で『慣れる』やろ」「慣れる。当たり前になる。心を貫く生き方や」と。さらに「心と意(こころ)を重ねたら『憶える』になる。忘れるか覚えるか、心のありようやろう」と。これを年末年始、つい「忙しいわ」と思う自分に言い聞かせて、できるだけ「忙しい」を使わんようにしてるんですが、ついつい言ってしまうので、自分自身を改めたいなと思います。

ちょっと余談になって恐縮ですが、三好さん、素晴らしい発表でした。お話の通り、小中高大アマの横綱で、すごいです。その彼が今、うちで働いてくれています。自分でも「天才エリート」って言ってましたけど、まさしく天才エリートだと思います。映像も初めて見ました。アマ横綱の映像、感動しました。僕が知ってるのは、ほんわかテレビで大阪市内を食べ歩きしてた“三好くん”の方で、あのかっこいい映像は今日初めて見ました。

いろいろお話がありましたけれども、名前は言えないけども、という「ご指導」の話もありましたよね。行き過ぎた指導があって、でも本人は「耐えました」と言っていて、結局は自分自身の問題だと。ただ、目が見えなくなって土俵の神様は微笑まなかった、という話があった一方で、間口に入って“別の神様”が微笑んでいる。人柄が縁を生んで、いろんなつながりができている。そういうことだと思います。

鳥内監督もおっしゃっていましたけれども、今は人事部にいる三好さんには、もっと前に出て、いろんなところで活躍してほしいと思っています。大きな体で、人柄がいい分、おとなしく隠れてしまいがちですが、これからは前に出て、話して、マグチグループのPRも広げてほしい。新しい“ニュー三好くん”を出していってほしいなと思います。アスリートが持つ本能の力、努力できる部分と生まれ持った本能、その両方を最大限に発揮できる場はスポーツだけじゃない。スポーツ経験が付加価値になって、活躍できる場がある。そういうシーンを、もっと作っていけたらと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。皆さんもぜひ三好さんに声をかけて、いろんなところに引っ張り回してください。CDPの事務局ですから、どんどん動かしていただけたらと思います。

そしてスポーツエンターテインメントさん、ありがとうございました。中川社長とはリログループさんのご紹介でご縁をいただいて、もう一年ちょっとになりますかね。富永さんのお話も分かりやすく、有言実行で、しっかり立ち上げて軌道に乗せているのは素晴らしいと思いました。デュアルキャリアって、デュアル=両立です。どっちかが良くてどっちかが悪いじゃない、両方成立させていく。その相乗効果が何なのか、次回以降、もしタイミングが合えば、社員として雇用されながら選手としても両立している方のお話を、この場で聞かせていただけたらさらに勉強になると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

今日の学びでもう一つ、冒頭に話があったエイジェックさんの剣道大会が12月に行われました。私も参加して、寒い中体育館で一日見させていただきました。その時トイレに行ったら小学生の剣道着を着た子が、トイレの入り口のスリッパを全部並べ直して整えていたんです。すごいね、と声をかけたら「当たり前です」と返ってきた。その「当たり前」がすごいなと思いました。誰かが見ているからじゃなくて、自分の中の純粋な心で当たり前と言っている。子どもたちから改めて学びを得ました。

さらに余談ですが、数年前にテレビで松山千春さんが話していた内容を思い出しました。「今の時代は見返りを求めすぎだ」と。自分がここまでしたんだからこうしてくれるはず、でもしてくれない、というスパイラルに入って、理想が増えて、理想とのギャップでしんどくなる。確かにそうだなと思います。恋愛でも、会社でも、アスリートでも、最初に出会った時の純粋な気持ちを持っていれば齟齬は起きにくい。求めるのは結局、自分の気持ちの問題で、純粋な気持ちで接していれば清らかなままいける、という話でした。剣道大会の子どもたちを見て思ったり、今日の三好さんの話を聞いて思ったり、いろいろ感じる一日でした。

我々もアスリートも、節目節目で原点に戻れるのか、初心忘れるべからず、ということだと思います。CDPの原点は、もう十年近くになりますが、労働力不足から始まっています。アスリートにはたくさん労働力を持っている方がいるのに、そこをセットにできないかな、という入り口です。もう一つは、頑張ってきたアスリート、やり切ったアスリートが、後ろに並び直さなければならない社会は間違ってるんじゃないか、同じスタートラインに立たせてあげたい、という思いです。原点に立ち返って、改めて取り組み直したいと思います。

まず、やり切る勇気。その次に切り替える勇気。その次に自分で決める勇気。この三つの勇気を促進できるように、この一年間も活動してまいりますので、ご支援よろしくお願い申し上げます。以上です。

Information

1on1ミーティングの実施

2026年度に向けて、忌憚のないご意見を頂戴する場として、個別に1on1のミーティングをさせていただきたいと思っています。事務局の担当者から皆様へご連絡をして、日程調整をして、2026年度に向けてのアイデアやご意見もいただきながら、一緒に進めていければと思っております。

賛同受入企業との1on1ミーティングの実施
実施期間:2026年2月~3月
実施方法:対面もしくはオンラインにて実施
実施内容:2025年度の活動報告/2026年度活動に対するご要望/普及(認知)活動へのご協力可否/2026年度賛同受入企業継続確認
※プロジェクトメンバー担当者から個別に連絡差し上げます。

賛同受入企業との1on1ミーティングの実施概要

賛同受入企業

キャリアデザインプロジェクトは、様々な分野で活躍している賛同受入企業によって支えられています。