机の上に開かれたノートと電卓

引退後の収入の変化に備える ― 現役のうちに整えておきたい家計の基本

競技生活を終えた後、多くのアスリートが最初に直面する現実のひとつが、収入のかたちが変わることです。契約金や報奨金、スポンサー収入といった競技に紐づく収入は、引退とともに減ったり、なくなったりします。一方で、会社員として働き始めれば、毎月決まった給与が入る生活になります。この記事では、引退後の収入の変化に慌てないために、現役のうちから整えておきたい家計の基本を整理します。金額の大小にかかわらず、考え方の土台を持っておくことが、安心して次の一歩を踏み出す助けになります。

まず、今の家計を「見える化」する

最初の一歩は、現在の収入と支出を書き出してみることです。競技に関わる支出(用具、遠征費、トレーナー費用、食事など)と、生活に関わる支出(家賃、光熱費、通信費、保険料など)を分けて書くと、引退後に残る支出と、なくなる支出がはっきりします。

この作業は、精密である必要はありません。ノートやスマートフォンのメモに、月ごとのおおよその金額を並べるだけでも十分です。大切なのは、「自分は毎月どのくらいで生活しているのか」を、感覚ではなく数字として把握しておくことです。

引退後の生活費を、先に想定しておく

現役中の収入は、年によって大きく変動することが少なくありません。そのため、「今の収入」を基準に生活水準を決めてしまうと、引退後に調整が難しくなることがあります。

そこで、「競技をやめた後、毎月いくらあれば暮らせるか」を先に想定しておきます。これは、新しい仕事を選ぶ際の判断材料にもなりますし、「この生活なら無理なく続けられる」という安心感にもつながります。想定した金額と現在の支出に差があれば、どの項目を見直せるかを、時間のあるうちに考えておくことができます。

現役のうちにできる、3つの備え

  1. 固定費を点検する。住居費、通信費、各種の契約など、毎月自動的に出ていくお金は、一度見直すと効果が続きます。競技中に増えた契約が、引退後も残っていないかを確認しておきましょう。
  2. 数か月分の生活費を目安に、余裕を持っておく。引退から次の仕事が決まるまでには、準備や選考の期間があります。その間の生活を支える余裕があると、焦って進路を決めずに済みます。
  3. 税金や社会保険の仕組みを、基本だけ知っておく。個人事業として収入を得ていた方は、会社員になると税金や社会保険料の納め方が変わります。細かい計算よりも、「どのような仕組みが変わるのか」を知っておくだけで、見通しが立てやすくなります。

一人で抱え込まず、相談先を持つ

家計やお金の話は、周囲に相談しにくいと感じる方も多いかもしれません。しかし、生活設計は本来、専門家や経験者の力を借りてよい分野です。公的な相談窓口や、家計の見直しを専門とする相談先など、中立的な立場で話を聞いてくれる場所は少なくありません。具体的な金融商品を選ぶ前に、まずは自分の状況を整理し、信頼できる相手に話してみることをおすすめします。

キャリアデザインプロジェクトでは、引退後の進路や働き方について、アスリートのみなさんの相談に応じています。生活面の不安は、仕事の選び方とも深くつながっています。お金のことも含めて、将来の働き方を一緒に考えていきましょう。アスリートのよくある悩みQ&Aやアスリートのための就活ガイドも、あわせてご覧ください。

CDPのメンバーズサイトは無料で登録できます。賛同受入企業の求人の閲覧や応募は、アスリート登録ページからどうぞ。